スマートフォン(スマホ)によるカメラの高画質化や性能の向上によりコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)が数年前より激減しており、スマホにはない機能の高倍率コンデジや、高級コンデジがなんとか生き残っている状況でした。
しかし、2024年11月以降よりコンデジの人気が復活してきているとの事です。家電量販店コーナーからコンデジの種類がずいぶん減少してきましたが、現在は低価格帯のコンデジが数機種コーナーに陳列しました。このコンデジは撮影が手軽で懐かしい写真が撮れる事をセールスポイントにして販売されています。
なぜコンデジの人気が復活して再び売れているかというと、フィルム時代のどこか懐かしい色味や解像度の低い写真が「エモい」と再びブームになっているのだそうです。
近年のスマホカメラの画質は性能が大幅に向上して、条件によっては高級コンデジよりも綺麗に見える写真が簡単に写せるようになりました。しかし綺麗な写真といっても記憶色を元に加工された画像で、ある意味綺麗すぎる写真に飽きた人達が、昔のコンデジで撮影したどこか懐かしいフィルム調の写真を求めるようになったのだと思います。
そのため中古で昔のコンデジを買う人も増えており、中古価格も高騰しています。
私が所有している2007年発売のコンデジ「パナソニック ルミックス DMC-FX30」の写真の写りはどうなのか、また使って良かったところやイマイチだったところを紹介していきたい思います。
ルミックス DMC-FX30の発売日
DMC-FX30は、広角28mmズームレンズを搭載したデジタルカメラとして当時世界最薄の奥行き22mmを実現したカメラとして発売しました。レンズには光学3.6倍のライカ DC-VARIO-ELMARTレンズを搭載し、有効720万画素の1/2.5型CCDセンサーを搭載しています。
CMキャラクターにはルミックスのイメージキャラクターとなっている浜崎あゆみを採用して「お嬢様カメラ」として若い女性層などをターゲットに販売をしたカメラです。2007年2月22日に発売、価格はオープンプライスで当時の店頭での価格は40000円弱程度でした。
2007年発売のコンデジは「オールドコンデジ」と呼ばれ、現在ブームのになっているカメラに該当します。

ルミックス DMC-FX30の仕様・スペック
DMC-FX30の仕様・スペックとなります。
ある程度デジタルカメラを理解されている方であれば、仕様・スペック表を見ればこのカメラの基本的な性能を把握できますが、カメラ初心者の方やスペックなど機械が苦手な方は苦手だったり、見る事なく飛ばしてしまう項目だと思います。
私も昔はデジタルカメラにまったく興味がなく、見る項目としてはカメラの「画素数」と「ズーム倍率」くらいでした。
DMC-FX30の機能
DMC-FX30の仕様・スペックの中から特徴のある機能をまとめてみました。
DMC-FX30は若い女性をターゲットに販売されたコンパクトデジタルカメラです。よってマニュアル操作で、「F値」や「シャッタースピード」を任意で選択する事は出来ません。
※シャッタースピードに関しては一部機能で、決まった時間を設定する事は出来ます。
それでも撮影時の設定を変えて、いろいろな撮り方を楽しむ機能はたくさん搭載されていました。
【撮像素子・有効画素数】
イメージセンサーには「1/2.5型」の有効画素数720万画素のCCDが搭載されています。有効画素数は720万画素ですが、撮影される写真の記録画素数は画面比率が「4:3」で横向き撮影の場合、横3072ピクセル・縦2304ピクセルの約708万画素となります。
※横3072ピクセル✕縦2304ピクセルは、横に3072個のドットと縦に2304個のドットの構成された画像という事です。
【映像エンジン「ヴィーナスエンジンⅢ」】
パナソニックのコンパクトデジカメであるルミックスシリーズには、高画質と高速処理を両立する「ヴィーナスエンジン」が搭載されています。
FX30には「ヴィーナスエンジンⅢ」というチップが搭載され、ノイズリダクションの改善・動き検出機能・高解像度化・色収差の低減化・色再現性の向上・低消費電力化・リレーズタイムラグの短縮が主な改善されているようです。
【ライカDC VARIO-ELMARITズームレンズ】
レンズ構成は「6群7枚(非球面レンズ6面5枚)」のライカDC VARIO-ELMARITレンズは、ライカカメラ社の品質基準に基づき、ライカカメラ社が認定したレンズです。
カメラの薄さ約22mmのコンパクトなボディに広角28mmスタートの3.6倍ズームレンズは、迫力のあるダイナミックな写真や遠くの被写体を圧縮して撮影する事が出来ます。
【最短撮影距離】
モードダイヤルを「マクロ」を選択する事で、通常撮影より近づいて撮影する事が可能となります。(スペック表では、ワイド端5cm・テレ端30cmまで寄れます。)
マクロモードは被写体に近づいて撮影出来るので、撮影の幅が広がります。
【フォーカスモード】
フォーカスモードには5つのモード「マルチ5点、高速3点、高速1点、中央1点、スポット中央1点」から選択出来ます。
「スポット」を選択すると、画面中央にピントを合わせる1点の枠が通常より小さくなるので、より細かな位置にピントを合わせる事が可能となります。
【オートブラケット撮影】
補正された露出値を基準に1枚目が撮影され、続けて設定された補正幅で2枚目・3枚目が撮影されます。1回シャッターを押すと3回シャッターが切れるので、都度露出を変えて撮る手間と構図のズレが解消出来ます。
【シャッタースピード】
最大60秒の長時間露光撮影が可能となっています。「星空」を撮るのが目的となっていますが、光が少ない撮影でノイズを少なく撮りたい場合にも利用できます。(三脚は必須)
【インテリジェントISO感度モード】
モードダイヤルを「インテリジェントISO感度モード」に合わせると、被写体ブレを抑えた撮影が可能となります。動体認識と明るさを検出して、自動的に最適なISO感度とシャッタースピードになるため、手ブレや被写体ブレを極力抑えて綺麗な写真を撮る事が出来ます。
【マクロモード】
被写体に近づいて撮りたい場合は、モードダイヤルを「マクロ」に合わせて撮影をします。ワイド端の28mmにするとレンズ先端から5cmまで近づいて撮影する事が出来ます。またテレ端だと30cmまで近づけるのでどの焦点距離でも寄って撮影する事が出来ます。
【シーンモード(21種類)】
「風景」「スポーツ」「夜景」「高感度」「星空」など21種類あるシーンモードを搭載する事で、様々な撮影シーンに反映します。
「星空」に合わせると長時間露光(15秒、30秒、60秒)での撮影が可能です。
【光学式手ブレ補正】
「DMC-FX30」は手ブレを抑えるために、光学式手ブレ補正機能(MEGA O.I.S)を搭載しています。手ブレのモードも2種類「モード1」「モード2」を選択する事ができ、被写体ブレもカメラが自動制御してくれるのも含めて「ブレ」に強いカメラになっています。
【高感度モード(ISO3200)】
光量の足りないシチュエーションで、通常はISO1250までの感度が「高感度モード」を選ぶ事でISO3200まで上げる事が可能です。
三脚がないシチュエーションや光が足りない場合、高感度撮影が出来ると1段分のシャッタースピードや露出を上げて撮影出来るメリットがあります。
【2.5型液晶モニター】
2.5型で20.3万画素のモニターは、一時的に輝度を上げる「パワーLCDモード」や視野角を下方向に広げる「ハイアングルモード」を搭載しています。
DMC-FX30のレビュー(使って分かった良かったところ)
スペックや仕様では表せない実際に使用して分かった事、良かったところをレビューします。
【レスポンス】
映像エンジンの「ヴィーナスエンジンⅢ」の効果が大きいのか、動作もそれなりにキビキビと動いてくれます。
カメラ撮影時の動作レスポンスは非常に重要だと思っています。それはスポーツや習い事など全てに共通すると思いますが、カメラ撮影もリズムよく撮影する事は大事で、レスポンスが悪いとリズムが崩れて撮影に集中出来ません。
そういった意味で、FX30は快適な動作とまではいきませんが、適度なレスポンスで問題なく撮影する事が出来ました。
【サイズ感】
前モデルの「DMC-FX01」に比べ2.2mm薄くなった本機ですが、現代の目線から見た場合すこし厚みがあるサイズで握りやすいサイズ感となっています。ポケットにも難なく入るサイズで、レンズ部分の出っ張りもほとんどなくポケットの出し入れ時にも引っ掛かる事なくスムーズに取り出せます。
【画質】
カメラの一番重要である写真の画質ですが、2007年発売でオートホワイトバランスが安定していないのか、晴れた太陽光での撮影は少し緑色に寄った色合いで、暗所の撮影では若干マゼンタ寄りの色合いになる事が多かったです。
また解像感では、近景と遠景によって変わる感じがします。マクロ撮影などの近景ではシャープな写りとなりますが、遠景での撮影となると逆にソフトな写りになりました。
【スポットAF】
オートフォーカス(AF)については、ピントが合うスピードは決して高速で合うとは言えませんが問題のなりレベルで撮影が出来ました。
AFの設定でフォーカス枠を「5点」「3点」「1点」以外に、スポットを選ぶと中央に小さな「1点」の枠となり、細かい場所にピントを合わせる事が出来て便利です。
【ズームレンズ(Leica DC Vario-Elmarit)】
「DMC-FX30」のレンズはLeica DC Vario-Elmaritを採用しており、ライカカメラ社が認定したレンズです。
このカメラはLeicaレンズだから画質が特別よいとは言えませんが、Leicaの金色の「L」のエンブレムはやはり所有感を満たせてくれるあたりメーカーの戦略としては成功しているのかと思います。
焦点距離も28mmから100mm(35mm換算)の3.6倍ズームレンズで通常の使用に関してはこの焦点距離で問題ない画角だと思います。
ズームレバーの動作に関しては若干遅いですが、速すぎて調整しにくいよりずっといいと思います。また、ズーミングが遅いという事はズームの調整幅があるという事を意味します。実際にレバーを少しずつ動かしていったところ「19段階」調整出来ました。(誤差はあるかもしれません。)
【モードダイヤル】
モードダイヤルは背面の右上に配置されており、デザイン優先の為か、2/3程度が天板に隠れて見えません。それを補うかのようにモニター画面上に拡大図が表示されるので、画面を見ながら合わせると操作がしやすいです。
モードダイヤルには「プリントモード、動画撮影、マクロ、通常撮影、インテリジェントISO感度、再生、かんたんモード、シーンモード」の8種類が選択できます。
【インテリジェントISO感度モード】
モードダイヤルから選べる「インテリジェントISO感度モード」は、シャッターを切った瞬間に被写体が動いたかどうかを判別して、ISO感度を決める機能です。
動いていないと判断した場合はISO感度を低めに設定する事で高画質な写真に、動いていると判断したら感度を上げて被写体ブレを抑える機能です。
ISO感度が上がると画質が劣化してしまいますが、大事な撮影だったりやり直しの利かない撮影の場合には重宝する機能だと思います。
【マクロ撮影】
「DMC-FX30」にはモードダイヤルに「マクロ」があり、近接撮影をする場合に非常に便利な機能です。(自動でマクロになるのではなく、手動でマクロを選べるのがいいところです。)
マクロ撮影というとレンズに近づいて撮影すると思われますが、中間距離や望遠距離でも「マクロ」を選ぶ事でそれなりに大きく被写体を写す事が出来ます。最短撮影距離が短ければ短い程、撮影者が望む被写体と背景のバランスを決めて撮影する事が容易となります。
マクロモードで撮影出来る機種は他に沢山ありますが、スペック重視でワイド端だけ近くに寄れても中間距離やテレ端では寄れずに結果として被写体を大きく写せないカメラもあります。
「DMC-FX30」はワイド端5cm、テレ端でも約30cmとワイド端以外の焦点距離でもそれなりに近づく事が出来るので、被写体と背景のバランスを考えて撮影する事が出来ます。
※実際に計測した場合、レンズ先端から被写体までワイド端・テレ端共に公表値より短く撮影が出来ました。
【ISO感度】
「DMC-FX30」のISO感度はISO100からISO1250までが標準で設定可能となっています。さらに「シーンモード」の「高感度モード」を選択する事でISO3200に感度を上げる事が出来ます。
光が少ない環境ではISO1250でも暗く写ってしまう写真も、ISO3200に上げる事で露出を1段分以上明るく撮影する事が可能となります。ただし副作用としてノイズが増えてしましますが、どうしても露出を確保したい場合や、シャッタースピードを上げる必要がある場合はISO感度を1段以上あげれる事は重要です。
日中でISO感度を上げるとノイズがのったフィルム調のエモい写真として撮影が出来ます。光の量が大きく影響するので、極端に光が多い晴れた日は画像が明るくなりすぎる可能性があるので注意して下さい。
【長時間露光(星空モード)】
撮影モードを「星空」に合わせる事で、長時間露光(15秒、30秒、60秒)で撮影が可能です。部屋でも外でも光が少ない場合、シャッタースピードが標準の設定では長くできないので撮影しても暗く写ってしまします。
そのような場合に長時間露光でシャッタースピードを遅く(長く)する事で、画像が明るくまたノイズの少ない写真を撮る事が出来ます。
※長時間露光の時間は3パターンしか選ぶ事が出来ません。
【ファンクションボタン】
ファンクションボタンを長押しする事で、撮影画面上に「プルダウンメニュー」が出現します。プルダウンメニューには、「手ブレ補正、連写、ホワイトバランス、ISO感度のMAX、画像サイズ、画質」の6項目が上下左右のボタンで簡単に設定が出来ます。
液晶モニター
液晶モニターは現代のカメラからすれば、ドット数が少なく色の発色も決していいとは言えませんが20.7万画素にしては意外と見やすくそれなりに解像しているように感じます。日中撮影時にモニターが見えにくい場合は輝度を上げる「パワーLCDモード」や、カメラを上に持ち上げた際に視野角を 下方向に広げる「ハイアングルモード」など少しでも見やすくなるような機能が搭載されています。
【オートブラケット】
「DMC-FX30」にはオートブラケット機能が搭載されています。オートブラケットとは、通常に撮影する補正された露出値を基準に1枚目が撮影され、続けて設定された補正幅で2枚目3枚目が撮影されます。
メリットは露出調整変えた写真を撮りたい場合、露出変更を毎回行う必要があるのに対し、オートブラケット撮影を使えば一回シャッターを切れば露出の違う3枚の写真が撮れてしま3連写で撮影するので構図も同じままで撮影出来るなど便利な機能だと思います。
【ヒストグラム】
リアルタイムヒストグラムも表示、非表示と切り替える事が出来ます。ヒストグラムとは、白飛び黒つぶれを確認して回避するのに必要な機能です。
液晶モニターで露出が分かりにくい場合でも、ヒストグラムを見る事である程度の明るさを把握する事が出来ます。
DMC-FX30の特徴(使って分かったイマイチなところ)
スペックや仕様では表せない実際に使用して、不満に感じたりイマイチだったところをレビューします。
フォーカスポイント
2007年発売のコンデジなので仕方がないのですが、フォーカスポイントが「オート(5点もしくは3点)」か「中央1点」となり、フォーカスポイントを動かす事が出来ない事や、追尾フォーカス機能も非搭載となります。
遠景撮影であれば、AFロック後に構図調整で解決しますが、接写撮影の場合は、構図調整時にピント位置がずれる場合が出てきます。
解像感
マクロを使って近接撮影はシャープな写りとなりますが、風景写真など引いてとる遠景撮影ではソフトな描写になる傾向があります。モードを「風景」に合わせてもシャープ感は通常撮影とそれ程変わりませんでした。
絞り優先モード
「絞り優先モード」や「シャッター速度優先モード」のように自分で絞り値とシャッタースピードを設定出来ない事が残念でした。これはカメラのコンセプトが「お嬢様カメラ」という事で主婦層をターゲットにしたカメラである為なのでオートで簡単に撮れるカメラにこのような機能を求めるのは酷という事ですね。
プレビュー画面
撮影した写真を確認する方法は二つあり、一つはモードダイヤルで再生を選んで見る方法と、もう一つは上下左右ボタンの下ボタン(REV)を押しても見る事が出来ます。
基本的にはモードダイヤルで再生を教えて見る方が、詳細情報や拡大率も大きく表示できる事以外に写真の表示のみ(詳細情報なし)を見る事が出来るのに対して、下ボタン(REV)だと、文字を消す事が出来なかったり拡大率もそこまで大きく出来ない事、さらに10秒程度で勝手に撮影状態に戻ってしまう事です。
液晶モニター
20.7万画素とドット数も少なく色の発色も決していいとは言えず、特に日中撮影時の場合液晶モニターの視野角が狭い為にカメラ正面からズレると一気に見えにくくなります。撮ったい写真の確認も室内などの眩しくない場所であればそこそこ快適に見る事が出来ますが、日中では強い太陽光の為にモニターが非常に見えずらい事や光の反射によって確認が困難な事もありモニターを見るのもストレスに感じる事があります。
DMC-FX30の作例
「DMC-FX30」で撮影した写真をご紹介します。画質的には柔らかい描写が特徴で、日中で撮影すると緑被りしやすい傾向にあります。写った写真はフィルム調のような写りをするように思います。実際に撮影した写真を作例として載せました。
DMC-FX30を数日間持ち歩いて、その時々で気になった物を撮影してみました。FX30の写りがどのような感じなのかはなんとなくわかっていただけると思います。このカメラは操作性もテンポよく動作し、気持ちよく撮影をする事が出来ました。
最後に
コンパクトデジタルカメラ「パナソニック ルミックス DMC-FX30」の機能や性能、実際に操作をしての感想などをレビューいたしました。
発売が2007年と古い機種となっているので、どうしても最新のカメラに比べて画質・機能・操作性等不満が出るのは当たり前だと思います。
また2007年製造のコンデジは現代のカメラに比べて画素数も低く、写りもミラーレスカメラやスマートフォンのような鮮明な画質ではなくゆるい描写になります。細部まで画質を見て描写性能を見るカメラではなく、あくまで手軽に撮れて昔の懐かしいフィルム調のような写真を楽しめるカメラだと思います。
スマートフォンが普及した現代ではコンパクトデジタルカメラは駆逐されていきました。ほとんどの方は手軽で高画質に撮影ができるスマートフォンで済ませる方が圧倒的に増えてきた中、あえて高画質で撮れるスマートフォンの写真ではなくコンデジならではの味のある写真で撮るという方が増えてきている事は非常に嬉しく感じます。
この記事を読まれて押し入れの奥に眠っているコンデジがありましたら、今一度外へ持ち出して撮影してみてはいかがでしょうか?スマホとは違った一味も二味も違う写真が撮れるかもしれませんよ。
それでは最後までご覧いただきありがとうございました。
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